共同の家プアンとは?

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〈共同の家プアン〉は女性と子どものためのステップハウスです。
ステップハウスとは、様々な理由で緊急一時保護所などを利用した後に、もう少し心身を休め、新しい生活を始める前の準備期間を過ごすための場所を提供する施設です。
〈共同の家プアン〉では、共同生活をしながら、心身の回復にあわせて、女性たちの精神的、経済的自立を支えていきます。
📌 設立趣意書
📌 定款

共同の家プアンの活動

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近年、様々な生活上の問題などを抱える人々、ドメステックバイオレンス*などの暴力被害、人権侵害を受ける女性や子どもたちが増加しています。
被害を受けた女性や子どもたちは、身体的・精神的に受ける人権侵害や暴力から逃れて、緊急一時避難所(シェルター)などを利用した後、再び地域に戻り新たな生活を始めます。
〈共同の家 プアン〉は、このような女性や子どもたちが孤立することなく、 安心して地域社会で新しい生活を築いていけるようにお手伝いします。

※ドメステックバイオレンス【DV=domestic violence】
女性が、夫や恋人などの身近な立場の男性から受ける、様々な暴力行為。肉体的暴力のみならず、言葉の暴力、性的暴力、社会的暴力(交友の制限など)、 物の破壊、経済的暴力(お金を渡さない)なども含めて考える。


具体的な活動

● ステップハウスの運営
● 日常生活の支援
● 行政など公的機関との調整
● 就労や転居などの自立に向けた支援
● 女性や子どもへの地域での継続支援
● ニュースレターの発行
● 関連団体とのネットワークづくり
● 研修
● 行政への提言

〈共同の家プアン〉を利用するには?

◎利用期間は原則として6ヶ月です。
◎通勤、通学が可能です。
◎医療施設ではない為、病気の方はご利用できません。
※〈共同の家プアン〉のケースマネージャーは、女性達の相談にのったり、情報提供や専門家の紹介、生活全般のサポートを行います。

共同の家プアンの成り立ち

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〈共同の家プアン〉は、住宅街の中にある最大3家族が共同生活できる一戸建て住宅です。 1階は事務兼宿泊スペース、和室、お風呂、トイレがあり、2階には和室と洋室が各一部屋、そして日当たりのよいベランダ、台所とリビングそしてトイレがあります。 2004年6月、約10ヶ月の準備を経て、〈共同の家プアン〉はスタートしました。
そもそもの始まりは2003年7月、空き家になっている自分の家を何か社会的に役立てられないかという方からのお話がありました。今まで国際協力NGOとして神奈川県内で50を超えるチャリティーショップを展開しているメンバーたちは、その収益を通 してアジア地域の女性や子どもたちを支援し、またショップを通して地域に暮らす多国籍の女性たちと交流を進める活動に携わってきました。 この貴重な申し出をどう実現できるか思案していく中で8月には主に外国籍の母子を支援する〈共同の家プアン〉の構想が固まりました。

その背景には主に次のようなことがありました。
(1)横浜市は隣接する大和市の難民センターを経て同地域の公営住宅に住むようになったインドシナ出身の住民を始めとして多国籍住民が暮らしている。多国籍住民と共に生きていく多文化地域づくりは同地域の課題でもある。
(2)国際化および定住化に伴ってDVや離婚、子どもの養育や教育問題、就労問題などを抱える外国籍女性は増える一方、それを支援できるシステムはまだ十分とはいえない。
(3)外国籍女性たちは言語、文化、国籍、または在留資格がなかったりするために、様々な問題に直面 した際に日本人女性よりも利用できる社会的資源や支援が限られているため、新たな生活を始めるには容易ではなく、さらなる時間を要する。
(4)緊急一時保護施設女性たちが支援を受けつつ中期的にゆっくりと心身を休めながら新たな生活の準備をし、自立に向けた支援をしていける施設は全国でも少ない。

2003年9月には大家さんのご好意で施設を安価で借ることができ、〈共同の家プアン〉の理念や目的が練られ、活動計画の立案が始まりました。 この間、研修を重ね、口コミによる会員の拡大、寄付のお願い、そして〈共同の家プアン〉の存在と活動の重要性を理解した助成金団体への申請を行いました。 多くの方々との出会いそして様々な形でのご支援のおかげで〈共同の家プアン〉は2004年6月1日に開設することができました。
2001年に成立したDV防止法が徐々に日本社会でも周知されると、日本の女性や母子の利用が増えました。さらに幼児期から虐待を受けた女性たちが居場所を求めてさまようようになり、若年性の女性の利用も増えてきました。
2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」は「女性の福祉」、「人権の尊重や擁護」、「男女平等」といった視点に立ち、困難な問題を抱える女性一人一人のニーズに応じて、本人の立場に寄り添って、切れ目のない包括的な支援を行うことになり、<共同の家プアン>の自立支援が社会化されたと言っても過言でありません。

2024年2月 施設の登記を済ませました。
2023年7月に大家さんから施設の売買の話が飛び込みました。
継続した女性支援が必要であること、今まで実践してきた自立支援を女性新法に反映させることができること、退所した女性たちの居場所として必要なことなどを検討し、不動産取得に向けて寄付キャンペーンを展開しました。 約230人の人たちの寄付により売買が成立し、今後も継続した支援をすることになりました

代表ごあいさつ

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2004年6月、約10ヶ月の準備を経て〈共同の家プアン〉をスタートしました。
この間、支援者の皆さまには多くのご支援とご協力をいただきまして、ありがとうございました。 お礼申し上げます。

私は、ここ数年アジア地域の平和構築のために、アジアの女性たちと連携し自立を支援するNGO活動に取り組んでいます。 21世紀は平和な時代と望んでいたにもかかわらず、残念ながら今、地域紛争は日常的に世界のあらゆるところで起こっています。 紛争の影で常に被害を受けるのは、子どもや女性など立場の弱い人ばかりです。

しかし、アジアの国々に行き、悪条件にもめげずに明るく、希望をもって生きている女性たちに会うたびに、彼女たちの前向きな姿に感動すると同時に、国を越えた地球市民としての意識と連帯をも感じます。 私はこのNGO活動を通して、内なる国際化に目を向けた時、理不尽な権力や暴力により、苦難な生活を強いられている女性たちの課題に直面するようになりました。 それぞれ抱えている背景は違うものの、共通しているのは力の強い者が、弱い者を自分の価値観に押し入れようとする多様性を認めない画一された姿です。 それはまさしく、「戦争」に通じる構造です。

現在、〈共同の家プアン〉のような緊急避難した女性たちを、中期的にサポートするステップハウスの必要性は 認められつつあります。 今後は、地域で活動している市民や団体と連携しながら〈共同の家プアン〉としての中間施設の機能を高めていきたいと考えます。
今後とも、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

2004年10月
プアン代表
郡司 真弓